〇富士川・サクラエビ問題(静岡県・山梨県)

  2019年6月24日(月)
  富士川の汚濁が進んで駿河湾のサクラエビ等の漁獲量が著しく減少している問題です。
  にもかかわらず、地元漁協が汚濁を究明しようとしていないそうです。
  まだ、静岡新聞にコメントを寄せた程度ですが、今後、関わることになりそうなので、本HPに掲載します。

  静岡新聞の記事は、たくさん送ってもらっていますが、今、築地問題に追われていますので、とりあえず、私のコメントが掲載されている記事及び同日の1面
 記事を次に紹介し、他の記事・資料等は、いずれ時間の余裕ができたときに掲載します。
  富士川漁協 濁り「究明せず」(静岡新聞2019.6.24)
  富士川濁り アユ減「警鐘」(静岡新聞2019.6.24)
◇2019年6月25日(火)
 1.駿河湾・富士川の濁りの動画と記事
  駿河湾・富士川の濁りをヘリコプターから映した貴重な動画がYou-tubeに掲載されました。
  支川の中でも早川の濁りが著しいこと、早川上流の雨畑ダム(日軽金の角瀬発電所あり)からの導水管を流れてきた水の濁りがさらに強いことなど、汚濁源
 がはっきりわかります。
 「サクラエビ異変」駿河湾に流れ込む濁り
  手前に海があり遠くに富士山を望む風景も駿河湾がこれでは台無しです。
  かつて公害が大問題になった1970年頃、製紙会社の排出するヘドロに汚染された田子の浦湾の海を子供たちが茶色に描いて話題になりましたが、原因こそ違え、駿河
 湾の汚染は、当時よりも改善されたとは決して言えないようです。
 動画に関する静岡新聞記事も次に紹介します。
  早川 雨後5日も強い濁り(静岡新聞2019.6.25)
◇2019年8月1日(木)
 1.雨畑ダム堆砂により浸水危機
  ダムは、水を止めるだけでなく、水流に含まれる土砂も止めますから、ダムには年々土砂が堆積します。そのため、ダム上流の地区に浸水被害をもたらします。
  日軽金の発電用ダムである雨畑ダムは、富士川に濁りをもたらすだけでなく、ダム上流の雨畑地区に浸水の被害・危険をもたらしています。
  雨畑地区の堆砂、浸水危機に関する静岡新聞記事を送っていただきましたので、次に掲載します。三つ目の記事には私のコメントも載っています。
  埋まるダム 迫る危機(静岡新聞2019.7.30)
  雨畑地区住民意識調査結果(静岡新聞2019.7.30)
  水害不安9割超 ダム堆砂「日軽金が除去を」4割(静岡新聞2019.7.30)

◇2019年8月10日(土)
 1.雨畑ダム堆砂問題記事
  雨畑ダム堆砂問題に関する静岡新聞の記事を紹介します。
  8月8日の記事に、山梨県知事が、日軽金に対して雨畑ダムの堆砂を除去するよう要請されたことが掲載されています。
  堆砂の速度想定外(静岡新聞2019.8.7)
  雨畑ダム堆砂率トップ(静岡新聞2019.8.7)
  佐久間ダム、先進事例(静岡新聞2019.7.30)
  森、川、海の恵み(静岡新聞2019.8.7)
  雨畑ダム堆砂除去要請へ(静岡新聞2019.8.8)
 2.漁業権廃止を目論む日本経済調査協議会
  産業界は、長年、漁業権を目の仇にしてきました。漁業権が海の開発の障害になっている、という認識からです。
  産業界の意を受けて、官邸は水産庁に2018年漁業法改悪を実現させました。区画漁業権(養殖の漁業権)に企業が進出しやすくなるよう、漁協に優先的に区画漁業
 を免許する制度を廃止したのです。
  しかし、産業界は、2018年漁業法改悪では飽き足らず、さらに漁業権自体を廃止する漁業法改悪を狙っています。2019年5月に発表された次の報告書に、その狙いが
 示されています。
  日本経済調査協議会 第2次水産業改革委員会 最終報告(提言)
  報告書をまとめた第2次水産業改革委員会の委員長は高木勇樹元農水省事務次官です。高木氏は、2018年漁業法改悪や卸売市場改悪の委員会の委員長をも務め、産業
 界・官邸の意を受けた社会改編のお先棒をかついでいる中心人物です。
  報告書は、「序」で、2018年漁業法が改正されたが、「その内容は、科学的資源管理や沿岸漁業への企業参入など2007年高木委員会の提言の一部がようやく実現され
 たものの、基本理念が『海洋と水産資源は国民共有の財産である』に変更されず、また、漁業権漁業という聖域を残したままという点で画竜点睛を欠くと言わざるを得な
 い」としていますが、この一節に報告書の本質が示されています。すなわち、海洋開発の障害になってきた漁業権を廃止する狙いを「海洋と水産資源は国民共有の財産」
 という理念に基づいて実現しようというのです。
  「海洋と水産資源は国民共有の財産」は、都会の市民には受け入れられやすい理念で、一見もっともです。しかし、長年、持続的社会を研究してきた私には、その背後
 に海洋と水産資源をわがものとしたいという大資本の欲求があることが見えてくるのです。
  実は、この報告書を丸写しした日経新聞社説についての感想を静岡新聞S氏から求められ、感想を寄せました。
  日経社説と私の感想を次に掲げます。
  日本経済新聞社説
  日経社説について
  私の感想の結論部分を次に展開します。

  大資本による社会改編を防ぐ必要
   近年、大資本による社会改編が加速化しています。産業界の意を受けた官邸が強力に進めているからです。種子法の廃止、水道民営化、漁業法改悪、卸売市場法改悪
 等々の動きは、そこに起因しています。
  その場合、「大資本が進出しやすいように」などという本音は決して表には出されません。市民の反発を受けてしまう本音は隠されたまま、「資源はみんなのもの」
 や「既得権の打破」や「効率的利用」などという、市民受けしやすいキャンペーンが張られます。
  この日経社説も、日経新聞が産業界を代弁する新聞であるだけに、そのようなキャンペーンの一環であるような疑念を抱かざるを得ません。
  「資源はみんなのもの」は決して間違いではありません。しかし、だからこそ、その管理・利用を、みんなに委ねるのではなく、そこに生活のかかっている地域住民に
 委ねることが大事だと思います。

  この感想をS氏に送ったところ、共感していただくとともに、「こんな報告書を見つけました。日経社説は、これを丸写ししたものですね」と上掲報告書を送っていた
 だいたのでした。結果として、私の感想は日経社説の背景にあるものを当てていたことになります。
  種子法の廃止や水道民営化や漁業法改悪や卸売市場法改悪の根が共通であることに気づき、注意・監視しましょう。
  「資源はみんなのもの」や「既得権の打破」や「効率的利用」などという、市民受けしやすいキャンペーンには。くれぐれも注意しましょう。
  さもなければ、山・川・海が大資本に支配され、民衆の生活基盤が奪われ、民衆が大資本に隷属して生きなければならない社会に改編されてしまいます。
  ちなみに、第2次水産業改革委員会 最終報告(提言)は、漁業権についての認識があまりにも低レベルなため、漁業権廃止が実現することにはならないと思います。
  よくこんなに低レベルのものを出したものと、その厚顔さに呆れます。
  しかし、最近は官邸が違法なことも平気で進め、官庁も司法も安倍に忖度して違法行為に従うようになっていますので、油断はできません。今後、監視していきたいと
 思います。

◇2019年8月16日(金)
 1.大企業参入「国有林荒れる」 政権の「成長戦略」に懸念の声
  8月10日の「漁業権廃止を目論む日本経済調査協議会」に関連して、企業が長期・大規模に国有林を伐採できるようにする国有林野管理経営法改正案に関する東京新聞
 記事を下に紹介します。
  海と山、場所こそ違え、起こっている事象の根は共通です。現政権が大企業の利益ばかりを図って社会改編を企てていることがわかります。
  「国破れて山河あり」ならまだましですが、「国破れて山河荒れる」になってしまいます。
  大企業参入「国有林荒れる」(東京新聞2019.6.4)
 2.静岡新聞等の記事・資料を整理
  静岡新聞等の記事・資料を時系列で追いやすくするため、下に[記事・資料]のコーナーを設けました。
  2月5日の「ダムから土砂『海がダメに』」の記事にある黒部川出し平ダムの排砂問題ですが、現地に二度行ったことがあり、二度目に一緒に富山県漁連と交渉を持った
 脇山正美組合長が今も健闘されていることを知りました。ご健闘を祈ります。

◇2020年12月27日
 1.静岡新聞記事[川辺川特集]
  静岡新聞「サクラエビ異変」取材班が川辺川ダム計画が復活した球磨川流域を訪ねて取材した記事を次に掲載します。
  静岡新聞2020.12.24[川辺川特集]

[記事・資料]
・静岡新聞
  富士川の恵み 繁栄下支え(静岡新聞2019.1.1)
  サクラエビ異変第1章母なる富士川(静岡新聞2019.1.1-1.6)
  サクラエビ異変第2章「プール制を問う」(静岡新聞2019.1.7-1.10)
  「有機物汚染 確認されず」(静岡新聞2019.2.1夕刊)
  漁業者ら 「濁り、良い影響ない」(静岡新聞2019.2.2)
  専門家「調査項目拡大を」(静岡新聞2019.2.2)
  ダムから土砂「海がダメに」(静岡新聞2019.2.5)
  サクラエビ異変第3章台湾最前線(静岡新聞2019.3.9-3.17)
  早川本流も強い濁り(静岡新聞2019.4.1)
  ダンプの列、残土の山(静岡新聞2019.4.1)
  雨畑川汚泥投棄 計画的か(静岡新聞2019.5.16)
  富士川濁り「原因除去を」(静岡新聞2019.5.18)
  雨畑ダム放流で汚泥流出(静岡新聞2019.5.23)
  日軽金、業者と資本関係(静岡新聞2019.5.23)
  サクラエビ異変第4章海の宝石と共に(静岡新聞2019.6.3-6.9)
  汚泥撤去なければ告発(静岡新聞2019.6.10)
  投棄汚泥の撤去完了(静岡新聞2019.6.15)
  私はこう見る(静岡新聞2019.6.20-22)
  富士川濁り アユ減け「警鐘」(静岡新聞2019.6.24)
  富士川漁協、濁り「究明せず」(静岡新聞2019.6.24)
  サクラエビ異変 濁る富士川 アユも激減(静岡新聞2019.6.25)
  早川 雨後5日も強い濁り(静岡新聞2019.6.25)
  埋まるダム 迫る危機(静岡新聞2019.7.30)
  雨畑地区住民意識調査結果(静岡新聞2019.7.30)
  水害不安9割超 ダム堆砂「日軽金が除去を」4割(静岡新聞2019.7.30)
  不漁原因3年かけ探る(静岡新聞2019.7.31)
  堆砂の速度想定外(静岡新聞2019.8.7)
  雨畑ダム堆砂率トップ(静岡新聞2019.8.7)
  佐久間ダム、先進事例(静岡新聞2019.7.30)
  森、川、海の恵み(静岡新聞2019.8.7)
  雨畑ダム堆砂除去要請へ(静岡新聞2019.8.8)
 静岡新聞記事[川辺川特集]

・その他
  日本経済調査協議会 第2次水産業改革委員会 最終報告(提言)
  日本経済新聞社説
  日経社説について
  大企業参入「国有林荒れる」(東京新聞2019.6.4)