〇川辺川ダム問題(熊本県)

◇2020年11月22日
1.川辺川ダム問題との関わり
  川辺川ダム問題には、1999年に八代市民T氏から依頼を受けたことをきっかけに、十年余りにわたって、どっぷりと関わりました。
  テーマは「漁業権でダムを止める」でした。大変な苦労をしましたが、川辺川ダム建設を止めることができ、更に、荒瀬ダムの撤去も勝ち取ること
 ができました。
  川辺川ダム・荒瀬ダムへの取り組みは、共に苦労した、三室勇・木本生光・小鶴隆一郎氏との共著『よみがえれ!清流球磨川』(緑風出版,2011)に
 まとめています。
  私としては、同書の上梓をもって、川辺川ダム・荒瀬ダムへの取組みは一段落したつもりでした。
  ところが、ご承知のように、昨年の球磨川水害に伴い、川辺川ダムの計画が再浮上しています。今度は、通常のダムではなく、流水型ダム(穴あき
 ダム)として計画されているようです。穴あきダムなら、普段は川の流れを止めることなく、そのまま流すので、漁業や環境への影響が小さくて済むと
 の理由からです。
  再浮上に関する西日本新聞の記事を次に掲げます。
  川辺川ダム建設、国に要請
   2020.11.22西日本新聞記事

  川辺川ダム計画が再浮上しても、主として治水問題として議論されているので、今本博健京大名誉教授にお任せしておけばいい、と思っていました。
 山形県小国川ダム(これも穴あきダムです)をつうじて存じ上げており、とても信頼できる方と思っているからです。
  しかし、一昨日11月20日に小鶴隆一郎氏から電話連絡があり、球磨川漁協の総会が11月30日に開かれ、総代会制度の廃止が議決されようとしているので
 助言してほしいと依頼されました。総代会制度の廃止は、川辺川ダム建設に関連して目論まれているようです。
  実は、川辺川ダム問題への関わりでは、1999年以来十年余りの間に信義にもとる行為をいくつも経験したため、再び関わる気持ちにはなれないのです。
  しかし、数少ない信頼できる方である共著者の小鶴氏からの依頼ですので、「以前のようにどっぷり関わることはできませんが、資料を送ってもらえば、検討
 して私見を述べることくらいは引き受けましょう」と言いました。小鶴氏も「信義にもとる行為」をご存知なので、その方針を理解してくれました。
  そこで、11月30日の球磨川漁協総会の資料が送られてきて、検討し、先ほど私見を送りました。
  漁協総会の資料は次の通りです。
   201130球磨川漁協総会資料
  私見は、11月30日総会終了後に掲載することにします。

◇2020年11月27日
 1.球磨川漁協11月30日総会は中止に
  昨日、小鶴氏から連絡があり、球磨川漁協11月30日総会は中止になったそうです。
  昨日午前10時頃に小鶴氏が私見を熊本県にファックスで送ったそうです。熊本県は、あくまで総会議案は違法ではないと言っていたそうです(おそらく漁協
 と打ち合わせたうえで総会開催が企てられていたのでそう言い張るしかなかったのでしょう)が、午後、球磨川漁協の緊急理事会が開かれ、総会開催中止が決め
 られたとのことです。
  約900名もの組合員を抱える漁協で総会を開くのは大変なことで、準備には多額の労力とお金が必要です。それをわずか四日前に急に中止するとは、きわめて
 異例なことで、ファックスに起因していると見るほかないでしょう。
  総会が中止になったので、30日を待たずに私見の文書を次に掲げます。
   球磨川漁協定款変更には総代会決議が必要

  水産庁には11月24日に電話して話しましたが、「定款変更も総会決議で決めれば総代会決議は不要と考えるが、1,2週間検討させてほしい」とのことでした。
  そのため、22日作成の私見文書をもとに『水産業協同組合法の解説』をより子細に検討してまとめたのが上掲の25日私見文書です。スッキリと分かり易くまと
 められたので、誰が読んでも納得していただけると思います。
  水産庁は、つい先ほど12時頃に連絡してきて「やはり総会で決議できるということになった」とのことでしたが、「私見を読んでいただければば分かります」
 と言って、私見文書をファックスで送っておきました。
 2.知事が撤回や容認を決めるとの報道は「国民主権」に反する
  川辺川ダムの再浮上に関し、マスコミでは「蒲島県知事が2008年にダム白紙撤回を決めたが、今回の穴あきダム計画については容認すると表明」と伝えられて
 いますが、川辺川ダムに十年以上関わった者から見れば、「知事が白紙撤回を決めた」とか「知事が容認する」とかの報道は、およそ実態からかけ離れています。
  ダム撤回やダム撤去を勝ち取ったのも、穴あきダムを容認するか否かを決めるのも何より漁業権を持つ漁民の取組み及びそれを支える市民の運動です。知事は、
 状況を見ながら保身目的で判断するだけの風見鶏に過ぎません。
  川辺川ダムの報道は、上関原発ボーリング調査の報道と同質です(HPの「上関原発計画」の頁を参照)。
  マスコミは、長周新聞を除いて、釣り漁業によって調査ができない状況を、「漁民の抗議行動」によって調査ができなくなっているとしか報道しません。そのよう
 な報道しかされないのは、権力が、民衆の権利によって事業の可否が左右されることを国民に知られたくないからであり、そのような権力にマスコミが忖度している
 からです。新憲法で「国民主権の国」になったはずですが、権力は戦前同様「お上主権の国」であることを望み、そのような意識を国民に根付かせるような報道しか
 させないのです。
  お上が事業の可否を判断し得るような報道には眉に唾を付けて接し、真実を探っていただきたいものです。一人でも多くの国民がそのような姿勢を持つこと、及び
 全国各地で「権利に基づく闘い」が展開されることで、「国民主権」の国が次第に勝ち取られていくはずです。

◇2020年11月29日
 1.たんぽぽ舎MLニュースNo.4089
  たんぽぽ舎MLニュースNo.4089に拙稿「権利に基づく闘い その14」が掲載されましたので、次に紹介します。
  球磨川漁協総会が、私見を県にファックスで送ることにより中止になったこと、また、上関原発についても川辺川ダムについても、マスコミ報道が「国民
 主権」でなく「お上主権」の報道になっていることなどを論じています。
  たんぽぽ舎MLニュースNo.4089

◇2020年12月6日
 1.「過去の取組み」のコーナーを設け、「川辺川ダム問題1999年~」を掲載
  今までHPには「最近の取組み」のみを掲載してきましたが、「過去の取組み」のコーナーを新設し、早速、前回の川辺川ダム問題への取組みを「川辺川ダム
 問題1999年~」として掲載しました。前回のファイルの量は膨大ですので、主要なものだけ少しずつ載せていく予定です。
  前回は、漁業権の初めての収用がなされようとしたのですから、歴史的にも貴重な資料になると思います。
 2.流域治水と穴あきダム
  知人の土木技術者の方が建設通信新聞12月3日の川辺川ダム記事を送ってくださいましたので、次に掲載します。
  建設通信新聞2020.12.3

  報道内容ですが、「流域治水」とダムは、そもそも矛盾するように思います。
  「流域治水」は、従来「総合治水」と呼ばれてきた方式で、私はかねてから優れた方式だと思っています。武田信玄の霞堤は、今でも各地に残されて治水に貢献
 していますが特に優れていると思います。ハードな施設は、想定内の雨量なら有効ですが、想定外の雨量の場合にはかえってマイナスになりかねないように思います。
  最近、起こり始めた線状降水帯のような新現象には、流域治水のほうがいいように思います。
  上掲記事は、流域治水を評価しながら、同時に穴あきダムも必要かのように報道していますが、(穴あきダム+流域治水)と「穴あきダムなしの流域治水」では、
 治水に必要な流域面積が少し増えるだけのような気がします。
  とはいえ、治水に関しては素人談義の域を出ませんので、信頼する今本博健先生の判断を信用するようにしています。
 3.被災者ほどダムを望んでいない
  地元以外からは意外に思われるかもしれませんが、球磨川水害の被害者ほどダムを望んでいないそうです。それどころか「市房ダムの緊急放流がなくてよかった」と
 いう声が多いようです。
  今本先生もそう言われていましたが、先生によれば「それだけ球磨川の恩恵を感じてきた人が多いということ。だから支援したいという気持ちになる」ということで
 した。
  1999年から2,3年、球磨川流域の各地で漁民・住民と学習会を重ねましたが、洪水時のことを語る時、漁民・住民が生き生きと嬉しそうに語ることに感心しました。
 床上浸水しそうな家に集まり、「もっと上がれ、もっと上がれ」と言うのだそうです。床上浸水すると、床の上にアユがピチピチ跳ねるので、みんなでそれを採って、
 分けあったのだそうです。洪水が地域の生活様式の中に折り込まれ、洪水が楽しみでもあったのです。
  球磨川上流に市房ダムができて、そのような地域文化は一変しました。大雨時にダム自体の損壊を防ぐために緊急放流がされ、水位がいっぺんに上がって甚大な被害
 をもたらすようになったからです。
  球磨川流域では、ダムは緊急放流をもたらす恐ろしいもの、という意識が市民に染みついています。球磨川水害の被災者がダム必要論に傾かないのも、市民が球磨川
 の恩恵を感じてきたから、また、ダムの怖さを肌で知っているからだと思います。
  次に、市房ダムの緊急放流を心配する球磨川流域住民の声を伝えている記事を掲げます。
  川辺川ダム 住民が心配する緊急放流

◇2020年12月27日
 1.静岡新聞記事[川辺川特集]
  静岡新聞「サクラエビ異変」取材班が川辺川ダム計画が復活した球磨川流域を訪ねて取材した記事を次に掲載します。
  球磨川水害を理由として川辺川ダム計画が復活しましたが、球磨川水害の被災者は決して川辺川ダム建設を望んではないことが分かります。
  静岡新聞2020.12.24[川辺川特集]

◇2021年1月4日
 1.東京新聞記事「球磨川のマス 再起の象徴に」
  ニジマスの大型改良種を「球磨川大鱒」としてブランド化する計画が球磨村で進んでいますが、宇都宮市から移住して計画の中心メンバーとなっている斎藤氏
 が川辺川ダム計画の復活を心配されているそうです。東京新聞の記事を次に掲げます。
  東京新聞2021.1.4「球磨川のマス 再起の象徴に」
  球磨村は昨年の球磨川水害を最もひどく受けた村ですが、球磨川による恩恵も受けてきたということだと思います。

◇2021年1月8日
 1.『奇跡の二つの吊り橋』
  小鶴さんから『奇跡の二つの吊り橋』という本が送られてきました。
  2010年球磨川水害について、国の検証委員会の検証内容を批判し、穴あきダムの必要性を否定した本です。
  今本博健京大名誉教授の論文、大熊孝新潟大名誉教授の論文が掲載されているほか、岐部明廣氏の市民の実感に基づく論が記されています。田副雄一氏の写真・漫画
 も秀逸で楽しめます。
  表紙(表裏)、及び奥付けを次に掲げます。
  岐部明廣編著『奇跡の二つの吊り橋』

◇2021年2月27日
 1.球磨川漁協が3月10日総会を予定
  球磨川漁協が昨年11月30日に予定していた総会が中止になったことは、2020.11.27HPに記しましたが、再び、3月10日に総会を予定しているそうです。
  昨年11月の水産庁とのやり取りを再掲すると、次のとおりです。

   水産庁には11月24日に電話して話しましたが、「定款変更も総会決議で決めれば総代会決議は不要と考えるが、1,2週間検討させてほしい」とのことでした。
   そのため、22日作成の私見文書をもとに『水産業協同組合法の解説』をより子細に検討してまとめたのが上掲の25日私見文書です。スッキリと分かり易くまと
  められたので、誰が読んでも納得していただけると思います。
   水産庁は、つい先ほど12時頃に連絡してきて「やはり総会で決議できるということになった」とのことでしたが、「私見を読んでいただければば分かります」
  と言って、私見文書をファックスで送っておきました。

   私見文書も次に再掲しておきます。
   球磨川漁協定款変更には総代会決議が必要

  11月30日総会が中止になったこともあり、「私見を読めば分かります」で済ませていましたが、3月10日に再び総会が予定されていることが分かりましたので、
 きちんと論争しておく必要があると思い、再び水産庁に連絡しました。
  私見の根拠になっているものに、私見文書にも引用した『水産業協同組合法の解説』の次の一節があります。

   「総会に代わるべき総代会」を設ける定款の規定は、その定款で総会の専属事項とされた事項以外の事項の議決は、総代会にまかせ、本項に規定する場合
  以外には総会の議決をもっても覆さないとすることが組合実情にかんがみて適当であるという考慮に基づくものと解するのが妥当であろう。
   ちなみに「本項に規定する」の本項とは、総代会決議を総代会から3カ月以内に開かれた総会での決議で覆せる旨規定した水協法52条9項のことです。

  この一節は、次のことを意味しています。
  ・「総会の専決事項(専属事項)」以外の事項の議決は総代会にまかせるべきこと
  ・「総会の専決事項(専属事項)」以外の事項についての総代会決議を覆すには、水協法52条9項の手続きによるべきこと
  したがって、球磨川漁協定款で「総会の専決事項」とされていない「定款の変更」を総代会を経ずに、直接総会に諮ることはできないのです。
  この一節を示しても、水産庁は「『水産業協同組合法の解説』は参考に過ぎない」としていますが、法を所管する官庁の役人によって書かれた解説書は大変重たい
 ものであり、「参考に過ぎない」の一言で片づけられるものではありません。「参考に過ぎない」では全く論理になりません。
  ですから、水産庁には、この一節に反論するように要請し、反論することを約束してもらいました。
  どのような反論が来るか、楽しみにしておきましょう。

◇2021年3月4日
 1.水産庁の呆れた回答
  2月27日に記したように、『水産業協同組合法の解説』の第52条9項に関する解説への反論を水産庁に求めていましたが、いちおう回答はありました。
  回答は、解説の中の「総会で議決された事項については、総代会でさらに議決することができないことは本項の反対解釈として当然の結論である。」に基づき、
 「総会決議があげられたら、総代会決議では覆せない」というものでした。
  52条9項に関する解説を全文紹介すると次の通りです。

  【第九項】総会と総代会の権限のいずれが優先するかを規定したものである。すなわち、総代会で一度議決した事項について当該総代会の議決の日から三箇月以内
 に開催された通常総会又は正組合員の請求により招集された臨時総会においてさらに議決することができる。両者の議決が異なる場合は、総会の議決のあったときから
 それによることとし、総代会の議決はそのときから取り消されるのである。また、総会で議決された事項については、総代会でさらに議決することができないことは本
 項の反対解釈として当然の結論である。「総会に代わるべき総代会」を設ける定款の規定は、その定款で総会の専属事項とされた事項以外の事項の議決は、総代会にまか
 せ、本項に規定する場合以外には総会の議決をもっても覆さないとすることが組合実情にかんがみて適当であるという考慮に基づくものと解するのが妥当であろう。ただ
 し、議決に際し考慮すべき客観的諸事情が変化した場合には、この限りではないと解すべきである。

  この解説を熟読しますと、「総会で議決された事項については、総代会でさらに議決することができないことは本項の反対解釈として当然の結論である。」にいう「総
 会決議」は「総代会決議から3カ月以内に開かれた総会における決議」のことを意味するとしか読めませんが、水産庁は、「総代会決議を経ない総会決議」を含む「あらゆ
 る総会決議を意味すると主張するのです。「総代会が設けられていても総代会を経ずに総会を開くのは自由」、「総会決議は総代会決議に優先する」というのです。呆れ
 るほどの読解力不足というほかありません。
  水産業協同組合法でも定款でも、「総会に代わるべき総代会を設けることができる」と規定されています。したがって、総代会が設けられたからには、総代会が総会に
 代わるべき存在になり、まずは総代会に諮らなければいけないことになるはずです。ところが、水産庁は、「総代会が設けられていても、総代会を経ずに総会に諮れる」
 としているのです。「総会に代わるべき総代会」との規定を無視した解釈です。
  千人余りの組合において、実質的な議論の機会を保証してきた総代制が、水産業協同組合法や定款における規定を無視した見解により廃止されようとしている、という
 ことですが、このような理不尽な行為が進められている原因が、復活した川辺川ダム計画にあることは容易に推察できますし、また、それ以外の原因は考えられません。
  しかし、総代制が廃止されたからといって、ダム建設が順調に進むとは限りません。
  今後の展開を楽しみにしておいてください。

◇2021年3月11日
 1.意見書及び公開質問状を熊本県に送る
  3月10日に開催される球磨川漁協総会の議題に関し、「球磨川漁協定款変更には総代会決議が必要ver.2」及び公開質問状を熊本県農林水産部宛、3月9日に送りま
 した。次に掲げます。
   球磨川漁協定款変更には総代会決議が必要ver.2
   公開質問状
  「球磨川漁協定款変更には総代会決議が必要ver.2」は、球磨川漁協定款が模範定款どおりであることがわかりましたので、2月27日掲載のver.1文書に手を入れた
 ものです。スッキリしてより分かり易くなったと思います。
  公開質問状には回答期限を3月17日と記しています。回答を楽しみに待ちましょう。

 2.3月10日漁協総会で「総代制の廃止」は否決
  3月10日に開かれた漁協総会で、「総代制の廃止」を内容とする定款変更は4票差で否決されたそうです。
  千人余りの漁協で実質的協議をある程度保証してきた総代制が存続したことはよかったですが、また総会を開くとも言われていますので、予断を許しません。
◇2021年4月9日
 1.県からの文書回答は無いまま
  3月17日を期限としていた公開質問状回答は、いまだに届きません。県は、公開質問状を仲介した小鶴隆一郎さんには電話連絡してきたそうですが、小鶴さんは
 回答文書を私に送るよう県に要請されたそうですので、電話が回答の代わりになるはずがありません。
  「球磨川漁協定款変更には総代会決議が必要ver.2」に記したように、総代会は「総会に代わるもの」として設けられた機関ですから、総会の専属事項を除き、
 総代会に諮らなければなりません。そして、「定款変更」は総会の専属事項ではありません。したがって、「定款変更」は総代会に諮らなければなりません。
  ところが、水産庁水産経営課は、議題が何であれ、総会で決議すれば総代会に諮らなくてもよい、と口頭で説明しています。これでは、「総会に代わるものとして
 総代会が設けられていること」、及び「総会の専属事項を除き、総代会に諮らなければならないこと」を説明できないことは明らかです。
  熊本県は、水産庁に問い合わせて、口頭での説明を受けたようです。地方の役人は、自らの頭で考えることなく、国に問いあわせてその回答を鵜呑みにすることが
 習性になっていますが、本件でも繰り返したようです。
  しかし、口頭では誤魔化せても文書で誤魔化すことは困難です。文書のほうが口頭よりもはるかに論理的展開を要求されるからです。熊本県が回答文書を送れない
 最大の理由は、公開質問状について文書で論理的に回答することが難しいからでしょう。
  公開質問状に文書で答えられないまま、漁協総会の強行を容認することなど県としてやってはならないことです。
 2.3月31日総会でも否決
  球磨川漁協は、3月10日臨時総会で「総代制の廃止」を内容とする定款変更が否決されたにもかかわらず、3月31日にまた臨時総会を開いて再度、定款変更を決議し
 ようとしましたが、また否決されました。しかも、3月10日否決よりもさらに票差が開いたとのことです。
  一般に、同じ議題を、事情の変化がないにもかかわらず、再度議題にすることは禁止されています(一事不再議の原則)が、漁協の顧問弁護士は、「本件には一事不
 再議は適用されない」と言って、三度臨時総会を開くことを画策しているそうです。かなり強引で無茶な話です。ダム利権がそれほど大きいということでしょう。
  次に、3月10日総会、及び3月31日総会に関する報道を掲げておきます。
   3月10日総会
   3月31日総会

◇2021年5月28日
 1.5月26日総会で可決
  「総代制の廃止」を内容とする定款変更が、5月26日総会に三度諮られ、可決されたそうです。総会での可決を伝える新聞記事を次に掲げます。
   5月26日総会
  組合長は「可決されるまで何度でも総会を開く」と言っていたそうですから、定款変更に反対の組合員も根負けしたのでしょう。
  「総代制の廃止」の背景に川辺川ダム建設の思惑があることは衆目の一致するところです。
  ダム容認派は、これで第一のハードルを越えたと喜んでいるかもしれませんが、今後、第一のハードルよりもはるかに高い、漁業権に基づく複数のハードルが待ち構
 えています。
  川辺川ダムの第一幕から約20年経って、ようやく第二幕が開いたというところでしょう。