〇善福寺川上流調節池計画(東京都)
◇2024年5月2日
1.善福寺川上流調節池計画とは
近年、局地的豪雨が増え、都市の中小河川の氾濫が頻発しています。
杉並区を流れる善福寺川の氾濫防止策として東京都によって打ち出されたのが、善福寺川上流調節池計画です。
東京都の作成した計画のあらましは、次のとおりです。
善福寺川上流調節池計画のあらまし
調節池とは、集中豪雨などの局地的な出水により、河川の流下能力を超過する可能性のある洪水を河川に入る前に
一時的に溜める池のことですが、本計画では、5.8kmにわたって区内幹線道路(青梅街道,環状8号線,五日市街道)や
善福寺川の地下深くをシールド工法で掘って調節池とする計画です。
反対運動の作成したチラシを次に掲げます。
反対運動のチラシ
この計画の問題点は、いろいろありますが、中でも原寺分橋付近で20軒程度の家が立退きを強いられる点が大きい
問題点として挙げられます。
治水対策として、かつては、上流の山間地域にダムを造る計画が主流でしたが、山村が水没する等の問題点から
ダム一辺倒の対策から、遊水池の配置等を含む総合治水や流域全体で対処する流域治水が叫ばれるようになりました。
ところが、総合治水や流域治水の手法に含まれる調節池によって立退きを強いられるというのですから、腑に落ちま
せん。
2.地権者の間で学習会
都市計画道路拡幅反対運動で健闘されている中野千枝さんの仲介で善福寺川上流調節池計画で立退きを強いられる
予定になっている地権者の方々の間で3月25日に「事業を如何に止めるか」の学習会を持ちました。地検者の方は
全員参加されたそうです。
学習会では、西荻窪補助132号線と武蔵野女子大通りの拡幅計画を如何に止めたかを報告しましたが、その後、会の
創設や会則の作成で、二つの運動、とくに地権者の構成等の点から善福寺川上流調節池問題と共通性の高い女子大通り
の経験から学ぶ取り組みが進んでいるようです。
◇2024年8月20日
1.都がオープンハウス形式の説明会を企画
東京都が、善福寺川上流調節池計画について、9月5日,6日,8日にオープンハウス形式の説明会を企画しました。
説明会の案内のチラシを次に掲げます。
オープンハウス形式の説明会のチラシ
オープンハウス形式は、近年、行政の説明会にしばしば採り入れられている形式ですが、それだけ行政にとって都合
がよい形式ということでしょう。
◇2024年8月21日
1.オープンハウス説明会のチラシ
オープンハウス説明会のより詳細なチラシを次に掲げます。
オープンハウス説明会のより詳細なチラシ
◇2024年8月23日
1.「すぎなみグリーンインフラモデル地区構想」試案
善福寺川上流調節池計画に反対している住民の皆さんが、「地域をどうしていくのか」のたたき台を
「すぎなみグリーンインフラモデル地区構想」試案としてまとめられました。次に掲げます。
「すぎなみグリーンインフラモデル地区構想」試案
グリーンインフラ計画想定図
今後、会の皆さん、周辺地域の皆さんとも話し合いをして精査していくつもり、とのことです。
東京都と交渉する際に、このような構想(代案)があるといいですね。
◇2025年1月16日
1.どんぐり公園周辺を考える会が記者会見
昨日、どんぐり公園周辺を考える会が都庁で記者会見を開かれました。
会見の際に配られた知事への要請書を次に掲げます。
「すぎなみグリーンインフラモデル地区構想」試案
要請の内容はよくできていると思いますし、これで適正手続の問題も正式に東京都に知らせることができました。
あいにく、石丸新党の記者会見と重なったため、参加は少なかったようですが、会見の成果は充分にあったと思います。
◇2025年1月25日
1.善福寺川上流調節池事業が事業認可を受ける
1月22日、善福寺川上流調節池事業が国(国交省)により事業認可を受けました。
そのことを報じる東京都のプレス向け報道を下に掲げます。
東京都のプレス向け報道
当ホームページの都市計画道路事業問題で紹介している西荻窪補助132号線の都市計画道路事業も事業認可を受けて
いますが、事業はほとんど進んでいません。「事業者と公の関係」で「事業認可」を受けても「事業者と民の関係」で
用地取得ができないと事業は進まないからです。
ただし、都市計画事業での事業認可は土地収用法の事業認定の効力を持ちますから、地権者との用地交渉が進まない
場合、事業者は強制収用という強権的な手法を採ることが可能です。
しかし、とはいえ、強制収用は、「両刃の刃」と呼ばれているように、採用する権力者自身も「強権的手法」を採った
ことで非難を浴びますので、それほど容易に採れる手法ではありません。
地権者が個別の用地交渉に応じると、事業者によって切り崩される可能性が高まります。
今後、地権者が個別の用地交渉に応じず、一体となって用地交渉に臨めるかが、鍵になると思います。
◇2025年2月12日
1.噂の東京マガジンで放映
善福寺川上流調節池問題が、2月9日の噂の東京マガジンで放映されました。
西荻北4丁目での水害は、武蔵野市から流入してくる下水による内水氾濫であること、善福寺川上流調節池事業で
大雨を地下トンネルに貯留しても解決する問題ではないことをわかりやすく説明してくれる内容でした。
内水氾濫につけこんでゼネコンが喜ぶ巨大事業を打ち上げたというのが、善福寺川上流調節池事業の本質でしょう。
そんな事業で立退きを強制するのですから、ひどい都政です。
録画を、昨年のご神木けやきの噂の東京マガジン録画と同様、YouTubeにアップしようとしましたが、なぜか今回は
ソフトが上手く働かず、そのうえ、著作権の問題があることを知りましたので、アップできていません。
Tverで当面見られるようですので、次のサイトをご覧ください。
噂の東京マガジン(2025.2.9)
2.東京都からの回答書
1月16日に東京都に提出した要請書への回答が東京都から来ました。
山口さんから送っていただきましたので、次に掲げます。
東京都からの回答書
[要請1]への回答では「適正手続」を無視、[要請3]への回答では「B/C」を無視しているように、論点をはぐら
かした、中身のない回答ですね。
住民に対しては、こんな無内容な回答で済ませておいて、他方で事業をどんどん進めていくのですから、ひどい都政
です。
◇2025年2月19日
1.オープンハウス説明会に不参加を通知
東京都が2月20日~22日にオープンハウス形式で善福寺川上流調節池事業の説明会を開くことを通知してきました。
オープンハウス説明会のチラシ
これは、下掲の都市計画法66条に基づく説明会です。
(事業の施行について周知させるための措置)
第六十六条 前条第一項に規定する告示があつたときは、施行者は、すみやかに、国土交通省令で定める事項を公告
するとともに、国土交通省令で定めるところにより、事業地内の土地建物等の有償譲渡について、次条の規定に
よる制限があることを関係権利者に周知させるため必要な措置を講じ、かつ、自己が施行する都市計画事業の概要
について、事業地及びその附近地の住民に説明し、これらの者から意見を聴取する等の措置を講ずることにより、
事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように努めなければならない。
事業で立退きを強制しようとしているにもかかわらず、その説明会をオープンハウス形式で行なおうとしている都の
姿勢には呆れます。オープンハウス形式では、系統だった質問も質問の参加者間での共有も極めて困難になるからです
どんぐり公園を考える会では、昨日、都に対して、オープンハウス形式説明会への不参加を通知しました。次のとおり
です。
オープンハウス説明会への不参加のお知らせ
立退きを迫る事業を実施するならば、地権者に頭を下げて、事業の公益性を説明し、事業への協力をお願いするのが
当然です。にもかかわらず、公聴会を開かず、地権者に意見・反論の機会も与えずに都市計画決定し、事業認可に伴う
説明会もオープンハウス形式で済ませようとしているのですから、東京都はあまりにも傲慢、不誠実です。
不参加は、とても素晴らしい方針だと思います。
2.東京新聞に掲載
地下調整池事業のことが東京新聞2月18日に掲載されましたので、紙版及びデジタル版を次に掲げます。
善福寺川上流調整池及びどんぐり公園周辺を考える会のことも紹介されています。
東京地下走る「川」構想(東京新聞2025.2.18)
同上(東京新聞デジタル2025.2.18)
◇2025年2月22日
1.オープンハウスで説明会での説明資料
2月19日ホームページで触れたオープンハウス説明会での説明資料を次に掲げます。
冒頭(3枚目のスライド)で、いきなり「本事業については、令和6年3月に都市計画決定され」と、大きな誤り
が記されている(都市計画決定は、令和6年2月6日)ことに驚きましたが。そのまま次に掲げます。
オープンハウス説明会資料
